在蘭邦人相談窓口のブログ

オランダにある、日本人のための相談窓口。オランダ生活で分からないことがあればお気軽にご相談ください。相談無料。秘密厳守。

オランダにおけるワーク・ファミリー・バランス(18 ) 善積京子教授論文抜粋

オランダにおけるワーク・ファミリー・バランス(18 ) 善積京子教授論文抜粋

追手門学院大学・地域創造学部紀要4号
「オランダにおけるワーク・ファミリー・バランス」
2019年3月10日

f:id:Jhelpdesk:20210711182956j:plain

父親休業

従来は、出産した女性の配偶者またはパートナーは、労使協定により休暇を取得していたが、2001 年の「労働とケア法」によって法的権利となる。政府によって保障されている父親休業の期間は、配遇者またはパートナーの出産後4 週間のうちの2 日間に加えて、2015 年1 月1 日から親休業の部分として3 日間が取得できるようになった。先の2 日間は賃金の100% を最高限度額として支払う義務が使用者にある。一方、後の3 日間については国レベルでは保障はなく無給である。ただし、団体合意によって、3 日間についても支払される場合がある。雇用主は休業日数を延期することもできる。これを利用できる対象者は、出産した女性のパートナー、あるいは子どもを認知した従業員である。

親休業

親休業の長さは、子どもが8 歳になるまでに、子ども一人につき、1 週間の労働時間の26 倍の時間とされている。例えば、週38 時間のフルタイム労働の場合は、988 時間の育児休業を取得する権利がある。なお、その権利は配遇者など他の人に譲れない。対象者は、同性婚を含めて、勤続1 年以上のすべての従業員である。両親のそれぞれが取得でき、同時期に取得することも可能である。休業中の間の所得保障はなく、無支給である。しかし、団体協定で補われる場合もある。2015 年に行われた調査によると、大手企業100 社のうち、19% が支給していた。この支給の協定は、主に公共行政やヘルスセクターの部門で多く見られる。子どもの年齢を12 歳までに拡大している協定もある(Laura den Dulk 2017)。

親休業を取得中は、病気になっても疾病保険の要求はできないが、しかし親休業を終えると疾病保険の資格が復活する。特別の年金合意が労使協定で結ばれていれば、年金権への影響が免除される場合もある。

介護休業

介護休業には、短期と長期の2 種類がある。短期介護休業では、病気の子や配偶者・親を短期間介護するために、年間で週労働時間の2 倍分の時間を休むことができる。雇い主は従業員の賃金の70% を支払う義務がある。すべての従業員は、次の3 つの条件のもとで資格があるとされる。①企業が重大な支障をきたす場合は、使用者は休業を拒否することができる。②病気のためにケア(看護)が必要である。③ケアは当該の従業員によって提供されなければならない。

長期介護休業は、病気の子や配偶者や親を介護するための長期間の休業である。1 週間の労働時間の6 倍の期間を年当たりで取ることができる。雇い主との合意のもとで、週当たりの労働時間を少なくして、パートタイムで取ることもできる。例えば、労働時間を半分にして、長期ケア休業を通常の12 週間よりも長く取得できる。休業中の給与保障はなく、無給である。

その他の休業制度

緊急および他の短期休業では、個人的な理由による緊急事態の時に、従業員は休むことができる。例えば、水道管の破損、家族の死、子どもの突然の発病などである。この緊急休業の長さは、2~3 時間から2~3 日続いても認められ、雇用主が賃金の100% を保障する。

養子縁組休業は、養子縁組する両親または里親が、実際に子どもが家庭で暮らす日の2 週間前から16 週間後までの間に連続して4 週間取ることができる。従業員または自営業者の両親がそれぞれに取得が可能である。上限があるが、所得の100% が保障される他の無給休業は、教育休暇・旅行・休養などさまざまな理由から、一定期間の休暇を使用者との相談の上で取得でき、その期間は無給である。

                                  つづく A子



にほんブログ村 海外生活ブログ オランダ情報へ
にほんブログ村にほんブログ村に参加しています。クリック応援よろしくお願いします!


20180108232417

jhelpdesk.hatenablog.com



★ 在蘭邦人相談窓口ではスポンサー企業を募集しています。ブログランキング上位の当ブログに広告を出してみませんか?詳細はjhelpdesk@live.nlまでお問い合わせください。

★ ボランティアメンバー募集中

f:id:Jhelpdesk:20200201224047p:plain
ホームページ

f:id:Jhelpdesk:20200201224122p:plainメール相談はこちらからどうぞ。