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オランダの王室 (5)

オランダ王室ご一家についての報道を振返り,その変遷とご様子、社会情勢ています。第5回はクリスマススピーチ(Kerstrede)について2007年の報道からです。



5.クリスマススピーチ・Kerstrede (2007年12月)



12月25日第一クリスマスの日、オランダではベアトリックス女王が28回目のクリスマススピーチ(Kerstrede)を行い公営テレビで放映された。


クリスマスメッセージは女王の祖母ウィルヘルミナ元女王が第一次世界大戦勃発の困難と悲しみの時代に、救い主の救済を信じベツレヘムの馬小屋の幼子イエスを信仰する様にと国民に書面で呼び掛ける声明を行ったのが始り。


1931年のクリスマスには、新設のラジオ放送で「距離が国民と吾を隔てること無く、今吾は民と共に有り、同国の民の多くとラジオで繋り語り掛ける事が出来るのを無上の喜びとする」という有名なスピーチを行う。



1939年の第二次世界大戦勃発時の兵士動員の最中にもクリスマススピーチを放送。



ロンドン亡命中の1940年クリスマスには、「神への揺るぎ無い信仰」を海を越えてラジオで国民に繰返し語り掛けた。


ユリアナ前女王戴冠後1948年には歴史に伴ってクリスマスメッセージも新しい時代を迎える。


1949年のインドネシア独立、1950年の復興の時代、1953年の大水害などを経て、声明は深遠な宗教哲学的思索の色合いを帯びてゆく。


聖書の言葉に帰した内容のみでは無く女王は個人の哲学的で解明困難なテキストをしばしば加えるようになる。


この時期は女王が第四王女クリステイナの目の病を治すとされた祈祷師ホッフマンスHofmans女史との交流を深めた有名なエピソードの時代でもあった。

また、ユリアナ前女王は在位の間に31回のクリスマススピーチを行った。


ベアトリックス女王は1980年の即位後、クリスマスを首尾一貫して「闇の中の類希なる光」とし、また自身を多文化で世俗的共同社会に生きる女王として位置づけた。



最初のクリスマスメッセージでは「信仰を同じ方法で体験する者は誰二人といない」と述べ、正統プロテスタント派の嘆きをよそに、ヒンズー教、イスラム教、仏教の価値を具体的に指摘した。女王は初期の声明では、住宅危急、若者の失業、平和、障害者の世話などの世界的なトラブルに触れると限定していたが、1988年から運命論的な色彩が加えられる。



環境汚染に起因する地球破壊を警告して「我々が現在体験しているのは、一瞬の地球破壊ではなく、ドラウマとして静かに進行する破壊である」と訴えた。



クリスマススピーチは女王個人からの声明だが、発言内容の法的責任は国会の長である首相にあり、以前はスピーチに政治的声明が盛り込まれる事もあった。


また、テレビではスピーチの内容より画像に気を取られる心配があるとして早くにテレビ放映を取入れたイギリスやべルギーの王室とは違って、1999年まではラジオ放送のみとしてきた。


ラジオ聴取率が5%弱まで下がった2000年からは毎年テレビでクリスマススピーチが行われる様になった。



2013年1月28日、ベアトリックス女王は退位の意思を公式発表、同年4月30日に祖母ウィルヘルミナ女王の58年間、ウィルム3世の41年間に次ぐ三番目に長い在位33年を終え、アムステルダムの新教会にて執り行われた戴冠後のウィルム アレキサンダー新国王へ引継ぎました。



2013年12月のクリスマススでは新国王にとって戴冠後初めてのスピーチで、視聴者は2.3万人だったそうです。



今年は二度目になり当日午後1時の様子がNPO1と民営テレビ局で放映され、Stichting KijkOnderzoek (SKO)の統計によると約196万3千人の視聴者がありました。




国王は第一クリスマスス日でのスピーチを自由、寛容と共同責任に焦点をおき、近代語セルフィーにも触れながら座らず立って国民へ語り掛けました。



先回の二回はスピーチの内容が事前に報道機関へ漏れるハプニングがありましたが、2014年はハプニングはなく無事に終了しました。



A子 (つづく)



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