セントニコラスといえばやっぱりプレゼント!
でもクリスマスプレゼントとは違って、12月5日の前にも小さなプレゼントが子供たちには用意されます。
セントニコラスがオランダに到着した後に、子供は自分の欲しいプレゼントのリスト(verlanglijstje・フェルラングライシェ)を作り、
セントニコラスを乗せている白馬のアメリゴのための人参やわらと一緒に、このリストを靴に入れ、今夜来て下さいねという願いを込めてセントニコラスの歌を歌って靴をドアの内側や窓の下おきます。
それをセントニコラスとズワルトピート君たちが夜中にこっそりと訪れて持っていくことになっています。
彼らが来たという証拠に、手紙は翌朝には消えていて、かわりに小さなプレゼントが靴に入っています。
(このプレゼントはチョコレートレターやお菓子、小さなおもちゃなどが多いようです)
お手紙を渡した後も、週末に靴に人参やわらをいれて歌を歌い、翌朝には再び小さなプレゼントがもらえるという家庭も多いようです。
こうしてセントニコラス当日まで、子供たちには小さなお楽しみが待っており、気分はいやが上にも盛り上がるわけです。
さて、プレゼントは子供たちだけではなく、大人たちの間でも準備されます。
セントニコラスは家族や友人などと一緒にお祝いすることも多く、その場合は、事前に集まる人たちでくじをひき、そのくじに書いてある人の為にプレゼントを考えるのです。
大人の間ではあまり高額なプレゼントではなく、ちょっとしたプレゼントで構いません。
しかし、セントニコラスは、ここからが大変なのです。
プレゼントをただ買って渡すのではなく、渡す相手のために詩を書きます。
韻を踏んだものでなくてはならず、しかもユーモラスに、できれば本人の困った癖とかその年に起きた失敗などを詩の中にいれるようにします。
これを考えるのが一苦労なのです。
(でも今ではインターネットや本で韻を踏んだ詩を探すこともできるようになったので、少しは楽になったのかも?)
そして、その上にプレゼントはサプライズと呼ばれる形で用意しなくてはなりません。
例えば、寝坊の人には大きな目覚まし時計、いつも携帯ばかり気にしている人には携帯電話、趣味にまつわるものならサッカーボールとか、映画の中の小物とか、そういったものを手作りしてその中にプレゼントを隠して入れておくのです。
これをプレゼントをもらう人には見つからないようにこっそりと準備しておき、プレゼントだけでなくどんなサプライズがもらえるのか、という楽しみも加わります。
こうして12月5日の夜、いよいよパッケスアーフォント(Pakjesavond)と呼ばれるプレゼントがもらえる日になるわけです。
この日も誰かがセントニコラスとズワルトピートに扮してその家を訪れるとか(今はアルバイトとして請け負う人もいるほどです)、お隣の人にドアを叩いてもらうとかドアベルを押してもらうなどのお願いをするとか、
最近では携帯に電話がかかってくるとか、とにかくあくまでもセントニコラスがプレゼントを届けてくれたと子供たちに思わせるように大人たちはあれこれと知恵をしぼります。
日本人の私などはこのプレゼントに関するあれこれが、楽しみよりも大きな悩みの種となるこの時期でしたが、これも子供たちが小さい間だけのこと、ある程度大きくなってしまうとあの準備の大変さも懐かしくすら思えて来ます。
C菜