オランダのコロナ対策と就労・家庭生活への影響 (7) 善積京子名誉教授論文抜粋

『追手門学院大学・地域創造学部紀要』第７巻

オランダのコロナ対策と就労・家庭生活への影響
善積京子名誉教授

The Dutch government's response to COVID-19 and its impact on work and family life
Kyoko Yoshizumi

第２回目のロックダウン

2020年９月中旬頃から新規感染者が急増し、第2波の到来で、首相は10月13日に再度のロックダウンを発表した。その会見で「部分的ロックダウン」（gedeeltelijke lockdown）という表現を用いて、以下のような詳細なルールが示された。（１）集団行動について、①自宅への来訪は１日当たり最大３名、②人々が着席する屋内施設では最大数は30名、③屋内外における集団行動は異なる世帯では最大４名まで。（２）個人行動では、①他に選択肢がない限り自宅勤務、②公共の屋内施設及び公共交通機関においてマスクを13歳から着用勧告。（３）教育機関については、中・高等学校、大学などでは、全員が教室外でマスクを着用。（４）商業施設の活動については、①全ての飲食施設を閉鎖し、店舗での受け取りは引き続き可能で、例外はホテル、葬儀施設、セキュリティチェック後の空港など、②小売店は遅くとも20時に閉鎖し、例外はスーパーマーケット、③アルコール類やソフトドラッグの20時から７時まで販売・配達や公共のスペースで飲むことの禁止。（５）人が出入りする施設・イベントについては、①イベントの禁止し、例外はデモ、集会、会合、②美術館、図書館、博物館等の来館では、時間ごとの予約。（６）スポーツでは、限定した範囲でのみ可能で、①個人又は４名以下のチームで、1.5ｍの距離を保つ場合にのみ可、試合禁止、例外はトップアスリートとしてのステータスを持つ者、②スポーツ施設に付帯する飲食施設、シャワー、更衣室の閉鎖。（７）旅行については、可能な限り①旅行回数を減らし、②旅行先で滞在、③混雑を避ける。

その後も新規感染者数と死亡者数は増加の一途をたどり11月3日に「部分的ロックダウン」の強化措置が発表され、レストランやカフェの閉鎖に加えて、美術館・博物館なども閉鎖された。自宅への来客や屋内外での集団行動は「２名」、葬儀は「30名」、結婚式は「20名」を上限とし、やむを得ない場合を除き自宅勤務とされた。

新規感染者は高止まりし、医療体制逼迫の懸念が大きくなり、12月1日から閉鎖された公共空間ではマスク着用が義務付けられ、12月15日にこれまでで最も厳しい「ハード・ロックダウン」が発表された。これまで開店していた衣料品店・靴店・宝石店・工芸品店などの多くの商店が閉鎖となった。ただし、食品などの必需品を販売している店舗は除かれ、スーパーマーケット、パン屋、精肉店などの食料品店、ドラッグストア、ガソリンスタンド、クリーニング店、眼鏡屋などは営業可能とされた。美容院・ネールサロンも閉鎖された。初等・中等教育、大学を含め全ての学校は閉鎖となり、オンライン授業に切り替わった。保育所は、保護者が重要な部門で働いている子どもだけに引き続き開放された。

今回は必要不可欠でない店舗も閉鎖となり、2021年１月12日にはこのハード・ロックダウンの２月９日までの延長が決められた。さらに、オランダ議会はハード・ロックダウン期間中の夜間外出禁止令を賛成多数で可決し、１月23日より午後９時から午前4時30分まで外出が禁止された。

その後、規制の一部が緩和されていく。2月23日には、ヘアーサロンなどの接触を伴う営業が条件つきで許可される（予約のみ可、マスク着用、顧客入店時の健康状態チェック、顧客の連絡先取得の義務）。３月８日に小売店の営業も条件つきで可能（入店人数の制限）とするが、３月23日にはロックダウンや夜間外出禁止令を４月20日まで延長と決めた。

つづく

A子

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