この記事は、当窓口をサポートしていただいている、フルート奏者・高橋眞知子さんよりご寄稿いただきました。
ランズベルギス元リトアニア国家元首といえば、サユディス(運動)と呼ばれる民族運動を起こし、リトアニアを独立に導いた方。
1990年の3月、選挙の結果リトアニア共和国最高会議議長に就任したランズベルギス氏は、ソビエト連邦共和国から独立を宣言。
ゴルバチョフ政権はこれに対し、1991年1月、特殊部隊をもって武力投入。14名の市民が殺害され、1名のソ連兵が同胞の誤砲弾を受け命を失ったという。
リトアニア人のある演奏家は、覚えているといった。ラジオから流れてきた放送で、ゴルバチョフが言ったものだ。あなたたちがソビエトから独立するということは、今までの全てを失うだけでなく将来をも失うということだ、と。
ランズベルギス氏は現在84歳。リトアニア・ヴィリニュスの音楽院(現在のリトアニア音楽・演劇アカデミー)でピアノ、音楽学を学び、後にそこで教鞭も取っていた。
彼は政治家であると同時に音楽学者、ピアニスト、そしてリトアニアを代表する画家であり作曲家でもあるM・チュルリョーニスの研究家だ。
リトアニア人演奏家はこう続けた。いや、べつに不思議なことではない。
わが国では文化芸術は生活の糧であるから、国家元首が音楽家であってもこれは決して異例ではないと思う。
作曲家が外交官であったりもするのだ。
多くの才能に恵まれている、ただそれだけのことだと。
なんとも羨ましいことである。
リトアニア共和国、首都ヴィリニュスにある重枝豊英駐リトアニア日本大使の公邸で、日本とリトアニアの新たな外交関係開設25周年記念に行われた演奏会。
日本とリトアニアの友好関係がさらに深まるように。
この祈りのこもった場に招いていただいた幸せを感じた。
プログラムには私自身の演奏、そして極めて異例にランズベルギス氏のピアノ演奏が組まれることになった。
冬到来の冷たい空気をシャットアウトする大広間のガラス窓。素晴らしい夕暮れの展望も少しずつ暮れていく中。
重枝大使ご夫妻、ランズベルギス元国家元首ご夫妻、日本大使館の書記官諸氏やスタッフ諸氏、そして、この夕べに招かれた来賓方々。
私が演奏を終えると暖かい拍手をくださり、客席からおもむろに腰をあげてゆっくりピアノに向かうランズベルギス氏。
演奏曲はリトアニアの作品から、チュルリョーニスのパストラル。
響き渡る音のひとつひとつが、彼個人の歴史を彷彿とさせる。
皆が息を潜め聴き入る中で黙々とピアノに向き合う政治家。
音の世界から捉えた、政治の世界は果たしてどのようなものだろう。
*在リトアニア日本大使館のホームページ www.lt.emb-japan.go.jp のホームをクリックしてご覧ください。
新着情報の中2016年11月2日に「日リトアニア新たな外交関係25周年記念行事・高橋眞知子氏によるフルートコンサート」が掲載されています。
2016年11月
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