滝にも心を打たれました。
周遊一日コースで私達は千尋の滝、大川の滝(日本の滝100選に入る)、布引の滝を訪れました。屋久島は花崗岩から出来た島で、大量の雨が降っても流れ出る余分な土が無い為に川の水は殆ど濁らず滝水の色が清明です。
千尋の滝は、巨大な一枚岩の花崗岩が作り出すV字型の谷にある落差66mの滝です。
ガイドさんの説明では、アニメーション監督の宮崎駿氏が2001年に「千と千尋の神隠し」を製作発表し日本映画史上第一位(観客動員2350万人、興行収入304億円)の興行記録を作ったと言われていますが、この作品創作のヒントの一つとなったのが屋久島です。
作品の中で両親が呪いをかけられて豚になってしまいますが、屋久島の豚の鳴き声が使われています。
滝の音、青カエルの鳴き声なども実際に宮崎氏が島で録音したものを採用しているのだそうです。
千尋滝の鯛之川急流が最後も滝となって入り江にドーッと落下する滝壷が海になっているという、珍しいトローキという滝もありました。
また、千尋滝の名前ですが、千人が手を広げた程の大きさのある花崗岩の窪みを流れる瀑布であるところから、センヒロの滝と呼んでいます。
滝は、展望台から、上から、また下からと見る地点が数箇所あります。
私達は滝壺の直ぐ近く迄行き、数人は大きな尖った岩の上を歩いて滝の前で雫に触れました。
偶々私が辿り着いた滝壺から少し離れた岩では、隣の岩との間に窪んだ水域がありました。
ヤクシカの白い斑点が未だくっきりとした小鹿が、花崗岩の上で足を滑らせたのでしょうか、息絶えて既に数日間経ったかと思われる姿で打寄せられているのが見え隠れしました。
はっと息を飲み込みながら島で聞くヤクシカの鋭く激しい鳴き声を思っては、自然は美しいばかりではないと実感しました。
滝の音が天龍寺のお経の様にも聞こえました。
つづく
A子