オランダのコロナ対策と就労・家庭生活への影響（2）善積京子名誉教授論文抜粋

『追手門学院大学・地域創造学部紀要』第７巻

オランダのコロナ対策と就労・家庭生活への影響
善積京子名誉教授

The Dutch government's response to COVID-19 and its impact on work and family life
Kyoko Yoshizumi

はじめに

新型コロナウイルス感染症（COVID-19）のパンデミックは、今なお人々の生活に大きな影響を及ぼしている。感染拡大防止のため、緊急事態宣言やロックダウン（都市封鎖）など、外出を抑制する措置が各国で実施されてきた。日本でも緊急事態宣言が出され、飲食店やデパートなどに営業自粛が求められ、通勤ラッシュの回避・在宅勤務が奨励され、不要不急の外出を控えるなどの要請もされた。こうした措置の実施に伴い、日常生活は大きな変更を迫られ、個人消費の落ち込みや雇用喪失など、日本経済や社会生活全体に大きなインパクトを与えている。

本稿の目的は、オランダ政府の新型コロナウイルス（以後、コロナと呼ぶ）への感染防止対策や経済的支援措置のもとで、人々の就労や家庭生活がどのように影響を受けたかを分析することで、今後の日本のコロナ対策考察への一助にしようとするものである。筆者の所属する「ワーク・ファミリー・バランス国際比較研究会」がオランダで2018年と2019年に行ったインタビュー調査の対象者に対して（１）、2020年10月〜12月にウェブ（WEB）による「コロナの影響調査」を実施した。本稿では、オランダ政府のコロナ対策を概説するだけでなく、この調査をもとに、オランダに住む人々のコロナ対策に対する評価や実際の生活状況を描き出す。

本稿の第１章では、オランダ政府のコロナ感染防止対策の内容を時系列的に捉え、インタビュー対象者の評価を紹介する。第２章では、コロナ禍のもとでの経済的救済措置の内容、その運用実態と効果を扱う。第３章では、就労や家庭生活への影響を追究していく。

つづく

A子

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