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オランダにおけるワーク・ファミリー・バランス(20) 善積京子教授論文抜粋

オランダにおけるワーク・ファミリー・バランス(20)
善積京子教授論文抜粋

追手門学院大学・地域創造学部紀要4号
「オランダにおけるワーク・ファミリー・バランス」
2019年3月10日

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短期・長期介護休業制度

短期介護休業では、2013 年には女性では23 万2000 人、男性20 万人が、病気の子どもや親・パートナーの介護のために取得している。フルタイム雇用者に対する割合では男性は7.2%、女性では27.7%、パートタイム雇用を含めた従業員での割合では、男性は4.9%、女性では6.3%となっている。多くのケースでは、毎年の有給休暇も使われている(Laura den Dulk 2017)。
長期介護休業の利用者は、オランダ統計局によると、2013 年には44 万3000 人の従業員(女性24 万5000 人、男性19 万8000 人)で、その割合の年次推移をみると、男性よりも女性の利用割合が多く、女性では2004 年17% から2014 年の23% へ、男性では9% から17% に、いずれも増加している。この長期の介護休業を取得している人のほとんどが、短期介護休業もすでに利用している。また、この介護休業の利用者の31% は有給休暇も使っている(Laura den Dulk2017)。

利用背景:スウェーデンとの比較

以上のように、育児休業や介護休業の制度利用者は増えている。しかしながら、親休業制度の利用割合はスウェーデンでは男性でも88.5%(2001 年)もあり(高橋美恵子2018)、オランダは男性23%、女性57%(2013 年)であり、全体としてまだ低率である。その背景には、第1 に、親休業期間の所得保障に問題がある。スウェーデンの場合は親保険制度で給与の8 割が保障されるのに対して、オランダでは休業中の所得保障は労使の自主的取り組みに委ねられており、公的セクターでは給与の75% が保障される部門もあるが、私的セクターでは無給の企業が多い。

第2 に、女性のパートタイム雇用の割合の違いである。2016 年の全女性就業者に対して占めるパートタイム雇用者の比率を比べると、スウェーデンは17.8% であるが、オランダは59.8%である(OECD)。つまりオランダ女性の場合は、多くがパートタイム労働であり、出産時点ですでに労働時間を短縮していることがある。
第3 に、父親の育児休業取得に対する社会的評価である。スウェーデンでは、1995 年に「パパ・クオータ制」を導入するなど、政府主導で父親の育児休業取得の推進政策が展開され、現在では、父親の育児休業取得は当然なことと見なされ、職場でマイナスに評価されることはない。

一方オランダは、現在でも男性が育児休業を取得することは、人事評価に悪影響を及ぼすと考えている人も少なくない。しかしながら最近は、男性はフルタイム契約を維持したままで、一日の勤務時間を増やし、出勤日を週四日以下に減らして、週末以外の1 日を子育てにあてる「パパの日」を実践する男性が増えつつある。また、子どもの急病や学校行事などに合わせて、振り替え休日を取得する男性も珍しくない。

つづく A子


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