オランダにおけるワーク・ファミリー・バランス(13) 善積京子教授論文抜粋
2-4テレワーク
以上のようにオランダの労働市場では、労使協調のもとで、パートタイム雇用やフレックス雇用の待遇改善が行われ、労働時間や雇用形態における柔軟な働き方が進められてきた。さらにテレワークの活用で、労働の場に関しても柔軟な働き方の改革が押し進められている。
日本でも、近年ワーク・ライフ・バランスを推進する1つの方法として、テレワークが注目されてきているが、この節では、オランダでのテレワークの法律を紹介した上で、テレワークの働き方のメリットとデミリットについて考察する(権丈英子2011, 2018)。
テレワーカーの定義と勧告・法律
オランダ統計局(CBS)では、テレワーカーとは「自分の所属する部署のある場所以外で、会社のICT(情報通信技術)システムにアクセスして規則的に働く雇用者」と定義している。つまり、テレワークとは、ICTを活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方であり、会社のICTシステムにアクセスできることを条件にしている。
オランダはテレワーク活用の最も高い国として知られているが、テレワークに関しては、2015年までは法的規制はなく、これまでは労使の自主的取り組みに委ねられてきた。
オランダはEU諸国の中でも通勤時間が1日平均50分と長く、そのために労働財団は2003年に「テレワークに関する勧告」、2009年には「異動可能性とテレワーク勧告」を出し、交通混雑の緩和のために、テレワークを労使レベルで普及させていく努力をしてきた。
前述したように、2015年の「フレキシブル・ワーク法」により、従業員10人以上の企業では、「労働時間」だけでなく「就労場所」の変更を申請する権利が労働者に認められた。
同法で認められた「労働時間の変更の権利」は、業務上の重要な理由がなければ企業側は従うことが義務つけられており、労働者にとっては強い権利としてあるが、この「就労場所変更の権利」の行使では、「企業側の裁量」が優先されるために、労働者にとっては弱い権利である。
つづく A子
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