在蘭邦人相談窓口のブログ

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オランダ国王の誕生を祝う、主人公は子どもたち!

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4月27日はオランダの国王、ウィレム・アレクサンダー閣下のお誕生日を祝う日。国民のおおいなる祝日です。先日の2019年のコーニングス・ダグと呼ばれる国王の誕生日は、春とは思えないほどの寒い1日でした。雨がぱらつき、吹き付けるような風もありました。

オランダ各都市で様々な催し物が執り行われたことでしょう。例年のことですが、アムステルダムは民族大移動の様相を呈して、押すな押すなの大盛況です。

街のど真ん中に住む私は、特にこの数年、亀が甲羅に身を隠すようにして避難を決め込む日ですが、たまたま近所に住む友人からお茶に誘われて外出することになりました。徒歩でものの5分とかからぬ友人宅まで人々をかき分けて行く道すがら、気になったことが幾つかありました。なぜか子供の姿がとても少なく、フリーマーケットも皆無で、大人ばかりなのです。天気が悪いからかとも思いましたが、それだけではなさそうです。

昔むかし、あるオランダ人女性がこう言いました。

「この日は、子どもたちが主人公です。彼らは、私の娘もですが、前日からわくわくと準備に取り掛かります。要らなくなった自分の物が、ほんのわずかなお金になるのも、やはり嬉しいことなのです。フリーマーケットは好きな場所を選べます。チョークで描いたり、テープを貼ったり。場所を確保しをしたら、当日はそこにビニールでも敷いて、おもちゃ、衣類、本などを並べればいい。家の前でやるのもよいけれど、歩道や広場、橋の上などに格好の場所を見つけると、お店やさんごっこではなくて、本物の店になるんですよ。同じような子どもがたくさんいるので物々交換もできる。楽器演奏したり歌ったりする子たちもいます。大人がそれをサポートし、皆で女王のバースデーを祝います」。

では、その和やかさはどこへ行ってしまったのでしょう。全てが消えてしまったわけではありませんが、コーニングス・ダグは時代とともに姿を変えようとしています。

気になること、あと一つ。それは大人の振る舞いです。朝っぱらから道の角にゴミの山。飲み物の空き缶に空き瓶が散乱。市が清掃するから何を捨ててもいい? 日本人と道徳観念が異なる?いえいえ、そういう問題ではありません。路上での飲酒、昨今やっと市が取締りを始めたよう。トイレ以外の場所で用を足した者にも140ユーロの罰金が科されるとか。では、耐えられぬような、一日中極限のボリュームでがなりたてるワンビートの雑音、この爆音はいい?

皇室の誕生日。せっかくのお祝いが、残念に思えます。


1885年の8月31日にウィルヘルミナ王女の誕生を祝うところから慣習が始まり、今日のアレクサンダー国王に至ります。1902年に入ってから国民的な規模に発展した行事だそうです。このオランダの風習は他国にないユニークなものでしょう。

先ほどのオランダ人女性の言葉は正しく、こんな愛らしい発想はありません。もっと大切にしたいものです。国の象徴であるオレンジ色の装飾品で身を飾り、オランダ女王や国王を祝うときは、将来を担う子どもらが主人公、やはりこれがベストなあり方だと思います。

子ども達よ、がんばれ! 


2019年4月   高橋眞知子