もう一度日本へ - 在蘭邦人相談窓口のブログ

ふたりは1991年に結婚してアムステルダムに住んでいます。21歳の娘さんが一人。

ライマはリトアニア人でリトアニア語、ロシア語の通訳、翻訳者。オランダ北部出身のヤープはQAエンジニアー（品質保証エンジニアー）。

国際結婚にはやはり文化の違いがつきものです。

次のようなインタヴューになりました。

ヤープ
オランダ人はリトアニアが世界地図のどこにあるか知りません。
私が初めてソヴィエト（現在のロシア）に、ロシア女性と結婚した兄を訪問したのが1979年。その折リトアニアのヴィリニュスにも旅しました。当時は外国人旅行者の入れない町でした。電車の中で兄の隣に座っていた私はソヴィエト兵にどこにいくんだと質問されて言語障害者のふりをしたりね。

ライマ
ちょうどその頃私はヴィリニュスで演劇の勉強中でした。だから私たちはすでに人知れず街のどこかですれ違っていたかもしれません。運命のいたずらはその後に起きたのですが !

ヤープ
ヴィリニュスの地下食堂の隣のテーブルでお互い知らずに、セペリネイ（ジャガイモ料理）でも食べていたかもしれないな。そういえばヴィリニュスの駅にはレストランがあって、そこで兄夫婦と食事したことがありました。メニューを渡されて注文すると、あれもない、これもない。それなら何があるのと聞いたら、あるのはこの料理だけですって。それなら最初からそう言ってくれればいいのに。

ライマ
私にも兄がいます。1985年頃のことです。兄は結婚してソチ（ソヴィエト）に住んでいました。ソヴィエト空軍の高官たちが好んで保養地にしていた町です。休暇を利用して女友達を誘い遊びに行くことにしました。レニングラード（現在のサンクト・ペテルブルク）が最初の目的地でした。到着後さっそく駅構内を横切って約束の場所に行くと知り合いが迎えにきていない。いくら待っても現れないからさあ大変。住所を片手に街を歩き回った挙句途方に暮れて駅の階段に腰掛けていると、向こうから２人の男女がやってきたんです。ロシア人女性とオランダ人男性でした。

この男性がヤープのお兄さんだった。運命のいたずら（笑）の開始ですね。宿泊先を探してくれたのがこのロシア女性、ナターシャ。新聞記者の友人に連絡取りこっそりと宿泊先に呼び出したのも彼女でした。リトアニアの事情を探りたい記者のためです。たまたま兄に持参したリトアニアの新聞を見せたりね、いろいろと思い出深い旅になりました。のちナターシャを通じてヤープに会うことに、、、。

ヤープ
リトアニア語はダメです、話せません。サンスクリットに源流を持つ摩訶不思議な言葉ですから。私のロシア語？スプーンとかお皿とかなぜだか台所用品の単語だけですよ（笑）。国民性の違いはもちろんあります。
リトアニアの人たちは皆で集まるのがとても好きです。クリスマスの時は驚きました。クリスマスイヴから始まって５日間のお祭をするんです。私の人生で初めてです。カトリックの人たちですから教会には行くしもう大変なものです。おまけにリトアニア風のサンタクロースが居ないと気が済みません。私はプロテスタントの家系ですからねえ。たった２日間で済むんですが。

ライマ
それはちょっと大げさよ。あの時は特別で…。

ヤープ
わかってる、だってリトアニアでは今までクリスマスも禁止されて祝うことができなかったんだから。
でもその次ぎの年から５日間のお祝いがなぜか３日になりました！

ライマ
リトアニアの伝統的な食事をするのは楽しいし遊びや歌もある。なにしろお祭なんですもの！

もともとリトアニア人はとても人好きで約束無しに友人を訪問するのも普通です。ここでそんなことすると嫌がられますよね。オランダ人って、手帳にプランを書き付けて予定を立てる。何だか距離を感じます。オランダに来て最初の３年間は文化事業企画の仕事をしながらもこのメンタリティーに追いつけず、大変苦労したものです。

ヤープ
オランダとリトアニアの共通点は木靴と水車、そこだけは似かよっています。ではどっちの国が先に木靴を使い始めたかとくれば、そりゃあオランダに違いない。だってオランダはあれだけ全部の木を切っちゃったんだから。わかりますこれ？　ちょっとシリアスなジョークなんだけど。

ライマとヤープ
何年も前に行った日本に是非もう一度行きたい、これが私たちの夢です。娘は今韓国在住ですが、当時日本に住んでいたんです。娘と一緒に奈良、京都、東京など３週間の旅は忘れられない思い出です。是非次ぎにはアドヴァイス下さいね。今からワクワクします。

2018年7月　　高橋眞知子