在蘭邦人相談窓口のブログ

オランダにある、日本人のための相談窓口。オランダ生活で分からないことがあればお気軽にご相談ください。相談無料。秘密厳守。

オランダ教育あれこれ 〜 スティーブ・ジョブズ スクールのその後

今から5年前、”新時代の教育”として立ち上がりスタートした「スティーブ・ジョブズ スクール」。


世界各地で注目を浴び、窓口でも以下のブログ記事でご紹介しました。↓


オランダの教育あれこれ 〜 スティーブ・ジョブズ スクール8月より始まる
http://d.hatena.ne.jp/Jhelpdesk/20130822/1377159838



その後、オランダ全国でこの教育理念全般および一部を導入した46校は、
2017年6月の時点では、そのうちの25校がこの教育方法を中止したようです。



オランダ大手新聞社volkskrantによると、中止に至った主な要因は、教育方法を維持するための費用が高すぎるということ。


導入したある学校では、一人の生徒にかかる一ヶ月の費用が9ユーロで、1年間にこの教育方法だけにかかる金額は2万ユーロにもなったとのこと。


導入した別の学校の校長は「費用は別としても、この教育方法はかなり束縛的だ」と批判しました。


一方、このコンセプトを立ち上げたde Hond氏は「この教育方法は半分だけ導入したのでは機能しない。しっかりと構成された取組みとそのためのトレーニングや指導が必要だ。」とコメント。


この教育方法を100パーセント導入した学校ではうまく機能し、学校側も満足していると報告していました。


https://www.volkskrant.nl/binnenland/onderwijsrevolutie-maurice-de-hond-hapert-helft-betrokken-scholen-haakt-af~a4499816/



2018年2月、コンセプトを立ち上げた団体”Stichting Onderwijs 4 Nieuwe Tijd (O4NT)”が経営破綻し倒産手続きを申請しました。オランダ大手新聞社NRCは「iPadスクールの登場と没落」というタイトルで、なぜこのコンセプトが上手くいかなかったのかという視点で記事を書いています。

https://www.nrc.nl/nieuws/2018/03/02/opkomst-en-ondergang-van-de-ipadschool-a1594285



また、ユトレヒト大学の教育科学者はスティーブ・ジョブズ スクールの一連の出来事と経営破綻を通して、オランダが学ぶべきことは何か、テクノロジーを教育現場の核とすることについて注意する必要があることを報告しています。
https://www.uu.nl/nieuws/technologie-vooropstellen-in-onderwijs-is-onverstandig



この一連の経過をみると、「スティーブ・ジョブズ スクール」のその後は成功したとは言いがたい結果になっているようです。



テクノロジーなしでは社会が機能しない時代になりましたが、子供の教育がテクノロジー中心では成り立たない、ということもまた考えさせられます。




P香


にほんブログ村 海外生活ブログ オランダ情報へ
にほんブログ村に参加しています。





20180108232417



★ 在蘭邦人相談窓口ではスポンサー企業を募集しています。ブログランキング上位の当ブログに広告を出してみませんか?
  詳細はjhelpdesk@live.nlまでお問い合わせください。


★ ボランティアメンバー募集中